Wednesday, April 18, 2007

バージニア大虐殺

「バージニアテックの大虐殺」(Massacre of Virginia Tech)というタイトルで事件当日から3日目アメリカのメディアはその話で持ちきりだ。1日目「犯人はアメリカンアジアン?」からその夜、「犯人はアジ ア人」次の日には、「犯人は中国人か韓国人」たぶんこの時点では容疑者の名前がもう漏れていて、アメリカのメディアが韓国名なのか中国名なのか判断がつか なかったのでそういう出し方をしたのだろう。そしてしばらくして、「犯人は韓国人」というスーパーに切り替わった。"Suspect ID-ed as South Korean" 

Cho Seung-Hui は、小学校の頃からずっとアメリカに住んでいて、グリーンカード(永住権)を持っている。確かに”市民権”ではないのだが、十数年アメリカに住んでいても アメリカ人、とみなされることはないんだなと今回のニュースでしみじみ感じた。というかやっぱりなんで、この事件が起きたのか、というよりも彼が韓国出 身、ということの方に関心は集められた。バージニアの州柄もあると思うが、テレビに映し出される警察官、けが人、生徒達は殆どが白人。その中でスーパーは 「犯人は韓国人」と赤と白に縁取られ出されている。まるで他国の人にアメリカ人が「大虐殺」された・・・というニュアンスだ。もちろん32人が死亡という のは信じられない数だが、アメリカメディアが"Massacre"という言葉をいつ使うだろうか?イラク戦争で使っているだろうか?Durfurの虐殺は どれだけの人が知っているのだろうか?

死者数が一気に30人に上ると、メディアは一斉にバージニアに駆けつけた。事件が起きた当時、生徒が携帯でとった生々しい画像をCNN は独占し、他のネットワークも今にも泣いてしまいそうな学生達を「大変だったね」とインタビュー。ニュースチャンネルは他のニュースを全部潰し、各局バー ジニアの話へ。専門家の話、銃規制の話、学校の対応に対する非難、重なる疑問を並べ上げテレビはしゃべり続けた。でもまるでおきまり、といったかんじで 「大変なことがおきて悲しいんです、フレーム」にただただバージニアの校舎や人の様子が流れているだけのようにも感じられた。

翌日の新聞は、NY Timesは銃規制の強化を唱え、保守派の新聞はそこまで強い論調で唱えることはなかった。むしろ、「なぜ生徒は銃を持ち自己防衛しなかったのか?」なん て書いてあるところさえあった。もちろん日本のニュースは「進まぬ銃規制」コメンテーターは、「どうして銃がなくならないんでしょう。」と短絡的。アメリ カの銃社会を日本の価値観で捉えても、全く分からないだろう。日本のニュースではアメリカではどれだけ銃が自由の一部だと信じられているかというのはあま り強調されていない気がする。

アメリカはアメリカで、学校での銃乱射はこれだけ死者数は出たことがないものの、この手の事件は最近頻繁にあることだった。死者やケガ人が出る前に、警察 が犯人を捕らえることもあるし、はっきりいって私はまた校舎内乱射が起こったことはあまり不思議に思わない。日本でも「きれやすい若者」が変な事件を起こ すけど、タダ単にアメリカではその事件を起こす凶器が銃になっただけのことのように思う。

ブッシュの会見、学校の会議、犯人の「知られざる」性格などで新聞やテレビは持ちきりだが・・。又これで人種に対する偏見や、「アジア人」に対する報復、 事件のコピーキャット、そんなのが出てくるんじゃないかと本当にハラハラする。今回の事件でやっぱりアメリカは白人がアメリカ人なんだ、となんとなく思っ た。あくまでもアジア人は「他人」なんだなぁと。大体白人って何人なんだよ、って話です。白人って言う言葉は特定の地域を指さないのに対して、アジア 人、っていうのははっきりしてるからね、、。と色々考えさせられる事件です。

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