テレビの仕事をはじめて、よく聞くようになった言葉、「横並び」。簡単に説明すれば、ニュースや情報など、各局が同じ情報を押さえていること、を表す。例えば、オートショーで大事なニュースが発表されたとする。1つの局だけニュースを押さえてなかったりすると、「各局横並びだったのに、あそこだけはずしたんだよね!」などと使われたりする。
どうやら、この「横並び」っていうのは日本のテレビではとても大事なようで、横並びに入らなければ叱咤されるし、横並びでも一番先にニュースを出すと、「うちが一番早かった!」といった具合になるのだ。確かに、報道すべきニュースを見逃してしまった意味での横並びできなかった場合は、叱咤に値すると思うのだが、なんでもかんでも横にならびゃーいいもんじゃないと思うわけである。以下共感したコメントを雑誌より。
「日本のイラク報道にもびっくりした。2003年1月のことだけど、当時の石破茂防衛庁長官がメディアの首脳陣を呼んで、「イラクは危ないから取材に行く な」と勧告したことがありましたよね。これはメディアの常識からすれば、ありえないことです。戦争には証人が必要で、その証人になるのがジャーナリストの 仕事であり、栄誉なんです。それを政府が報道機関に「イラクへ行くな」と言い、報道機関も反発しない。信じられません。フリーランスの日本人カメラマンと 記者の2人が現地で殺害されたときも、「戦争中のイラクに行くなんて狂っている」とか、「日本の外交政策を危機に陥れた」などという批判が渦巻いた。あれ にもショックを受けました。〜〜日本は民主主義の国で、報道の自由もある。なのに、日本の人々は「知る」という意味では与えられたチャンスの半分しか、つかんでいないように見えます。ア フリカや中東のニュースも万遍なく報道されるBBCやCNNと比べ、日本の報道は明らかに情報が偏り(かたより)すぎている。記事のラインアップを決める 権限が記者に与えられていないんです。署名入りの記事もまだまだ少ないし、日本の社会はジャーナリストにもっとパワーを与えるべきじゃないかな?」
byクーリエ ミシェル・テマン
この対談を読んで、「横並び」っていう言葉が一番に浮かんだわけです。この価値観は日本特有なんだなぁと。おそらく、他の業界でも同じような意味で使われるのではないでしょうか?使い方の例が他にもあったら教えてください。知りたい。
近年日本は、この美徳でもある「横並び」意識に、自分の首を絞めているところがあるような気がしてなりません。アメリカのジャーナリズムは、日本と比べるともう少し豊かだと思います。ジャーナリストの想像や、意見、憶測などがバラエティ豊かに飛び交っているというか、新聞や雑誌だけではなく、ウェブサイトでも人が自由に発想しているというところはよくみてとれます。
メディアは、画一的であってはいけないと思うのです。情報が溢れるようになった世の中で、事情に対する人の想いや、個人の考え方といった部分が伝える側にとってもっと重要になっていくべきだと思います。やっぱり情報は、「伝えたい」という動機があるからこそ、相手側に届くものだと思うし、情報の裏に人の想いがない情報っていうのは死んでいると同然なんじゃないでしょうか。死んでいる情報というのは、聞いた事がある言葉の繰り返しだったり、差し障りのない適当なものだったり、伝える側に突き放された情報だと思います。
もっとクオリティのある情報が溢れた国にしたいですね。
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