Wednesday, April 23, 2008

痴人の愛

最近友達にすすめられる本や映画をままなるまま読んでるんですが、なんだか本などを勧められる機会が多く、誰かに本を読めと言われている気がします。今は仕事でも大量にものを読みますが、帰って来ても本、週に2、3本映画もみます。吸収の時期なのでしょうか!

現在は、「痴人の愛」谷崎潤一郎を借りて読んでいました。非常にディテールがあり、自分が向き合いたくないような人間の暗い部分というか卑しい部分というかそういうのがあっけらかんと書いてあって、昔の人が書いたとは思えないモダンさと、くどいくらいのディテールで途中むかつきながらも一気に読んでしまいました。面白かった。ああいう風に、人間のいやだなぁと思う部分、自分はずるいとか汚いとか思える部分を鮮明に書けるのはアーティストの勇気だなと思いました。写真でも、文章でも、ダンスでも、自分を表現する作業のときに自分と正面と向き合って素直になるのは大変な作業だと思うからです。

今日は、日経ビジネスの古いのを読んでいたら、田坂氏のインタビューを見つけて読み込んでしまいました。昔にもボスに勧められて彼のインターネットラジオなどを聞いたことがあったのですが、なんか言葉の使い方も上手だし、大胆な発想の転換、状況を読む力にいつも感心してしまいます。今日読んだものの一部でとても好きだったところは

「ヘーゲルの「弁証法」によれば、物事はらせん的に発展していきます。進歩、発展というのは右肩上がりに一直線ではなくて、らせん階段を上がっていく ようなものなんです。横から見ていると上に上がっていくけれども、上から見ているとぐるっと回って元の場所に戻っていく。ただし、1段高い所に上がってい るわけです。  これから起こる出来事というのは、大半がこのらせん的発展になっていきます。懐かしいものが復活しているように見えるけど、実はちゃんと1段上がっている」



まぁ、日経のインタとだけあって、ビジネスの話なんですけどビジネスの哲学は多く、人間の生き方にも通ずるところがあると思うんですが、(今の仕事になって特にそう思うようになりました)物事は螺旋的に発展して行くという観念は私にとって雷のような衝撃でした。なぜなら、私はいつも人生の価値観を考えるときに、人は「向上」という言葉を使い、それは私の頭の中では直線でしかなかったのです。右上がりの直線。しかしそれはとても納得がいかず、人生そんな単純に良い悪いと直線で計れん!と思っていた訳ですが、螺旋的に発展していくというのはまさにぴったりです。特に、横から見ていると上にあがっていくけど、上から見ているとぐるっと回ってもとに戻る、というのはとても納得できます。



他に今日読んだもので面白かったのは、日本の学生のシュウカツの話。日本では将来なりたいものが分からなければ「だめだな」と言われ、行きたい企業に死に物狂いでアピールしても、インターネットで入力したエントリーシート一つで、理由もなく落とされて行くむなしさ。その結果行きたい動機を無理矢理作って何十社と就職活動をしなくてはいけない学生の状況、そりゃ気がおかしくなります。


日本では目的がいつもはっきりしていないとすぐ「どうしようもない」のレッテルを貼られる。どこの大学行きたいの?どこの企業行きたいの?何をしたいの・・?まるで全部の答えを持っていないと馬鹿な人のように思われる。なんかそういうの疲れるなーって思います。「とりあえずゆっくりしてみたら」なんて言ってくれる人いるのかなぁ。アメリカの大学生はよく卒業すると旅に出ます。就職活動の時期も決まっている訳ではないし、転職もザラ、ましてやそんなにすぐにやりたいこと分からないよ。という人もたくさんいます。まあ環境も違いますが、競争で自分の好きなことを探さなきゃいけないみたいなことはない。



いいんじゃないの、もっとリラックスで。

3 comments:

Anonymous said...

田坂氏の言葉いいね。納得納得。
就活も言う通りだね。痴人の愛私も読んでみよ。

saknak said...

ゆみ>タイどう。痴人の愛イライラするけど人間くさいなぁってかんじでいいよ。

Anonymous said...

うむうむ、リラックス大事。おれはリラックスしすぎって噂もあるけど、いやいや、一歩先にいるためにどこにいるかわからないより、ゆっくりでも、どこらへんにいるか、わかることも大事だなぁ、と。